歯並びの治療について(10)不正咬合の治療について(その4)

歯は圧力を加えた方向に移動していきます。圧迫すると、その力が歯の根に伝わり、根を支えている周囲の骨に波及していきます。力を受けた側の骨がだんだん吸収していき、逆に力を受けていない側の骨との間に隙間ができ、そこに新しい骨が出来ていきます。力を加えることによってこの現象が繰り返し起こり、これを応用したのが矯正治療です。指で一定の方向にいつも押していくとその方向に動いて行きます。
しかし、指でいつも同じ方向に圧力を加えるのは、非常に困難なことです。指を離すと圧迫された側の骨の改造が回復され、口の中の自然の圧力のなかのバランスに押し戻されてしまうからです。長時間にわたり持続的な力が働かないと歯は移動していかないのです。最適な矯正力というのがあります。歯列の部位によって異なりますが、適度の矯正力を用いれば効率よく、歯は移動していくのです。
歯並びが乱ぐい〈でこぼこ〉になっている場合、通常歯並びを拡大して治療します。つまり、歯並びを前後、側方に移動してスペースをつくり乱ぐいを解消します。しかしこれには限度があり、骨の上にスペースがなかったり、無理した拡大で唇が閉じにくくなっても困ります。このような場合、一部の歯を減らして、つまり抜歯をして配列することもあります。健康な虫歯にもなっていない歯を抜去するということには、誰しも抵抗があります。
しかし、一部の歯に犠牲になってもらい、全体の歯並びを改善し良好にするわけですから、決して無駄で惜しい行為ではないのです。最近のお子さんの場合、歯が大きく顎が小さく釣り合いがとれないことも多いので、抜歯することも少なくありません。抜歯することが悪いようにいわれる風潮がありますが、不正咬合の状態によっては決して誤った解決法の一つではないのです。勿論、歯を抜かないで治療する方法を第1に考え、必要によりやむを得ず抜歯を選択することもあるのです。
これらは前にのべた検査を分析し、診断によって決定しますが、顔との調和についても充分にして考慮して、歯の移動方法、抜歯の有無などを検討して治療の方針を決定するのです。


内容

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著者略歴
北總征男 (Yukio Kitafusa)

1942年 千葉県生まれ
1968年 東京歯科大学卒業
1972年 東京歯科大学大学院歯学研究科修了(歯学博士)
1972-2002年 東京歯科大学講師(非常勤)
現在 千葉県旭市にて矯正歯科開業



北總矯正歯科

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