歯並びの治療について(11)不正咬合の治療について(その5)

歯は新しい位置に移動されると、また元の位置に戻ろうとします。
これを「後戻り」といいますが、どのような矯正治療の場合でも必ず発生します。折角、長い時間や費用をかけ、またお子さんの場合は学校を休んで通院したり、さらに不自由なおもいをして治療しても、大幅に後戻りをしては何にもなりません。勿論、治療開始前のように全体が戻るわけではありませんが、治療を途中で中断してしまったり、矯正歯科医の細かい指示を守らなかったりすると不快な「後戻り」になることがあるのです。それでは「後戻り」を最小限に防ぐのにはどのようにすべきかを考えてみましょう。
先ず、治療を出来るだけ完璧になるまで行う必要があります。主だった不正咬合の症状が取れてくると多くの患者さんは器械を外したくなったり、治療を終了にしたくなります。治療前に矯正歯科医は治療計画を立てて治療期間も設定します。なるべくその期間に合わせて治療を進行させていきますが、予想したほど能率良く歯が動かなかったり、待っていた歯が生えてこなかったり、指示どおりに器具や装置を使ってくれなかったりすると、どんどん期間が延びていきます。
開始時にもお話しすると思いますが、患者さんによって歯の移動スピードは異なります。そのため厳密には期間の設定はしにくいのです。ですから期間が多少延長しても出来るだけいい状態にして仕上がるようにした方がいいのです。いい状態に仕上げるためには、診断と治療計画を厳密に行い、さらに的確に治療が進行しているかチェックし、その患者さんがもっている個体の状態に見合うようにしなければなりません。しかし、現代の歯科矯正学が100%完成されたものでもなく、全ての患者さんの状態を完璧に見とおせるわけでもありません。さらに不正咬合の治療は不正の本質を改善させるわけではない対症療法になることが多いので、非常に難しいことが多いのです。
ですから完璧な治療といっても限度がありますが、できるだけ考えられる範囲でいい状態に仕上げるべきであるということです。いい状態に仕上がるとそれまで使用していた矯正装置を除去して保定装置を使います。これは出来るだけ「後戻り」を防ぐ装置ですが、これについては次号で述べましょう。(この項続く)


内容

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著者略歴
北總征男 (Yukio Kitafusa)

1942年 千葉県生まれ
1968年 東京歯科大学卒業
1972年 東京歯科大学大学院歯学研究科修了(歯学博士)
1972-2002年 東京歯科大学講師(非常勤)
現在 千葉県旭市にて矯正歯科開業



北總矯正歯科

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