歯並びの治療について(19)自然成長誘導法(その6)

石器時代の大昔の人類の歯並びは、不正咬合がなかったと言われています。歯並びがよく第3、第4大臼歯まで歯が並び骨格もしっかりしていました。きれいな汚れのない空気の中で魚や動物、植物をあまり調理せず、自然のままで生活をしていたと考えられています。このような食生活の場合、顎骨や筋肉がパワフルでないとよく咬めないので、自然と唇を閉じ、鼻呼吸をしながら、大きな口の容積をフルに使って咀嚼していたと考えられます。当然、口が前の方に水平的に出ていたと思われます。
オーストラリアのアボリジン民族は、現代に於いて、尚石器時代の生活をしていると云われており、歯並び骨格も良いといわれています。硬い食物が多いので年輩になると歯が垂直的・前後的に摩耗し、歯の大きさが小さくなり、顎にフィットしていると云われています。自然との調和です。
現代の食生活では加工食品が主体ですから、あまり固い物も無く時間をかけて強く咬む動作が必要ありません。そのため、あまり咬まずに口をモグモグしているだけで飲み込んでしまう子供達をよく見かけます。唾液もあまり出ないままなので、消化不十分の高カロリー食品が胃に入り肥満につながることも多いようです。
そのため現代の子供達は、細おもてで下顎が充分に発達していない場合がおおく、又空気汚染、アレルギーなどの影響で鼻詰まりが絶えず生じているので口呼吸が主になります。下顎が充分に発育されていないので顎がコントロールされず下あごが下方に位置されることが多くなります。その結果、舌も下方に位置することが多くなり、口を開けたり、舌を歯でかむ機会も増徴されます。その結果使用しない鼻はさらに未発達、鼻閉も増悪させます。上あごも舌が下方に行ったままで接触されないので刺激がなく、上あご自体の発育も遅れ狭まった顎になってしまいます。いずれにしてもこれらが相互に関連しあい、相互に悪影響を生じさせることになります。そして下あごの後方位置につながってしまうのです。
自然成長誘導法の治療ではこのような弊害が是正されるように、顎、歯、舌の動き、呼吸などとの調和を考え、顔とのバランスを重要視しているのです。(この項終わり)


内容

……………………………………………………………………………………………………………………

著者略歴
北總征男 (Yukio Kitafusa)

1942年 千葉県生まれ
1968年 東京歯科大学卒業
1972年 東京歯科大学大学院歯学研究科修了(歯学博士)
1972-2002年 東京歯科大学講師(非常勤)
現在 千葉県旭市にて矯正歯科開業



北總矯正歯科

北總矯正歯科