歯並びの治療について(23)費用1

矯正治療の費用についてよく質問されますので、お話ししましょう。
矯正治療費は、一部の場合を除き現在の歯科医療制度では自費扱いとなり、保険では治療が受けられません。一部の場合とは、先天的な唇顎口蓋裂の患者さんと著しい不正咬合で、顎の手術を要する顎変形症の咬合異常の患者さんの場合です。今回はこれらの患者さんの治療について述べます。
唇顎口蓋裂の患者さんの場合は、育成医療の対象にもなっており、必要な手続きをすればあまり負担のかからない料金で矯正治療が受けられます。ほとんどの場合、この患者さんは上顎の骨が一部欠損しているので、発育が不足して反対咬合や叢生になっています。そのため、上顎を拡大し下顎は後退することが多く、長期にわたって治療が必要になりますが、それらの全てにわたり保険での治療が受けられます。
顎変形症の患者さんの場合は、矯正治療単独では治療が困難な場合で外科的手術を併用して治療を行います。顎変形症の種類には主として、下顎前突、上顎前突、開咬、交叉咬合などがありますが、いずれも強度の骨格の不正を伴います。通常の場合、成長の完了を確認して手術を口腔外科に依頼して行いますが、先ずその手術前に約1年から1年半くらいかけて矯正治療を行います。手術前の矯正治療は口腔外科医と打ち合わせをしながら進められ、矯正治療が進んできたら手術の部位や方法を決定して手術後の顎の位置、顔貌の変化の予想をたてます。不正の位置により顎離断手術を、上顎骨単独または下顎骨単独で行いますが、場合により上顎骨・下顎骨両方を同時に行うこともあります。さらに下顎前突の場合、顎の先端(頤部)を手術的に一部切除して前突感を軽減することもあります。これらの手術後では顎骨を固定して回復を待つため3~4週間入院が必要になります。そして、手術後、仕上げの矯正治療を1~1.5年くらいかけて行い、良い咬合が得られたら矯正装置を撤去して保定期に入ります。これらの矯正治療に関しては保険で給付され、社保、国保ともそれぞれの自己負担で行うことができます。手術に関しては、口腔外科の病院で別途負担が必要で、入院費用は部屋の種類によって負担が異なります。いずれにしてもそれぞれの医療機関でお問い合わせをすることが肝要です。(この項つづく)


内容

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著者略歴
北總征男 (Yukio Kitafusa)

1942年 千葉県生まれ
1968年 東京歯科大学卒業
1972年 東京歯科大学大学院歯学研究科修了(歯学博士)
1972-2002年 東京歯科大学講師(非常勤)
現在 千葉県旭市にて矯正歯科開業



北總矯正歯科

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