歯並びの治療について(39)遺伝 

北總征男 不正咬合の成り立ちには様々な原因があります。
前にもお話ししましたが大きく分けると遺伝的な原因と後天的な原因があります。
親子で歯並びが似ていることはよく見られるし、大きい歯の父親と小さい顎の母親の子供は歯並びが悪いこともよく見られます。
確かに、歯並びやかみ合わせが似ている場合は多いので、その素因はあると考えられます。でも後天的な影響の方がもっとつよいのです。
例えば、乳歯が虫歯になって早く抜けてしまうと、後から出てくる永久歯はガイドのいなくなったヒマラヤ登山家のように道を失い迷って遭難してしまう場合が多いように、行き宛が定まらず不正位置に生えてきてしまいます。乳歯の奥歯は虫歯で失われると、その奥の6歳臼歯は前の方に移動してきて、その前の永久歯の生える場所を占領してしまい、やはり不正咬合を発生させてしまいます。
また呼吸の問題も大きな影響があります。鼻が詰まって口で呼吸をする割合が多くなると、いつも口を開けていることになります。そのため口が下方、後方に回転して、また頭をすこし上向きにして頸を曲げるようになります。このようになると顎が下方、後方に下がってくることが容易に想像されます。かみあわせにも影響がでてきます。
また、食品の固さにも問題があるかも知れません。いつも軟らかい食べ物ですと、どうしても顎の筋肉もそれなりに発達しないことも想像されます。固いあまり調理しない食べ物ですと、何回も時間を掛けて咬まないと軟らかくなりません。自然と何回も咬み、唾液も充分にでて消化を助け、唾液の量で胃も少し膨らみます。顔の骨格も力強くなり前方に発育して、歯並びと共にバランスも取れるようになります。このように後天的な要素でかみ合わせ、骨格も変わり歯並びも変わるのです。
ですから、不正咬合の成り立ちには、後天的な要素が多く影響すると考えられます。


内容

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著者略歴
北總征男 (Yukio Kitafusa)

1942年 千葉県生まれ
1968年 東京歯科大学卒業
1972年 東京歯科大学大学院歯学研究科修了(歯学博士)
1972-2002年 東京歯科大学講師(非常勤)
現在 千葉県旭市にて矯正歯科開業



北總矯正歯科

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